VIVA LA ROCKは今年初めて行われた室内型ロックフェスで、とにかく音楽への愛が伝わってくるフェスだった。これから何年も続いていくフェスになると思う。きっとどのフェスの1年目よりも充実した、愛のこもった空間になっていただろう。このフェスはRIGFやROCKS
TOKYOなどのフェスを手掛けたMUSICA元編集長の鹿野淳が手掛けているのだが、このフェスが成功したのも、こんなにも愛のあふれた空間になったのもすべてこの人のおかげだろう。このフェスは他の邦楽中心のフェス、例えばRIJFや室内で行われるCDJ同時期に開催されるメトロックとは大きく違ういくつかの試みがあった。
まず、出演者だ。近年ロックフェスにアイドルが出演することが増えてきた。昨年はサマーソニックにももいろクローバーZ、CDJでは前田敦子、RIJFにはでんぱ組.incやきゃりーぱみゅぱみゅなどが出演し、3日目の大トリはPerfumeがつとめた。しかし、ビバロックの出演者はロックにこだわった。
次にVIVA LA GARDENだ。このVIVA LA GARDENはGW初日の4月26日から最終日の5月6日までさいたまスーパーアリーナ前のけやき広場で行われていた。フェスの開催期間以外も行われていて毎日DJなどが行われていた。
オトミセは誰でも参加できる音楽コミケで、3日間バンドをやっている方などがCDを配ったり自分たちの作品を販売したりしていた。フェスに参加した人たちに自分たちのことを紹介できる場であった。
最後にオールナイトビバ!である。フジロックなどの一部の野外フェスでテントを張ってフェスの会場で宿泊できることがあるが、ビバロックでもさいたまスーパーアリーナの400レベルにリクライニングチェアを並べそこに宿泊するという試みが行われた。消灯前まではDJや映画の上映などが行われた。また宿泊料も2500円と参加しやすく、学生などが地方からもフェスに参加しやすかったと思う。
またこれはフェスだけでなくすべてのライブにかかる手数料がかからないスマートe+というチケットも導入された。
だからこのフェスがどんなフェスなのかわかりやすかった。地域に密着してこの空間をたくさんの人に楽しんでもらいたい。音楽を表現している人をサポートしたい。様々な形でロックファンに楽しんでもらうために参加しやすいフェスになっていた。
フェスの初日にはクロークが足りないなどの問題が発生したが翌日には解消されていたのではないだろうか。スーパーアリーナ入ってすぐのエリアで行われた公開インタビューの際の導線の確保は来年への課題であろう。通常フェスはスタンディングのみだが、座って楽しむことができるというのもよかったのではないだろうか。他にも来年へ向けて改善してほしい部分はたくさんあると思う。でも、このフェスはアーティストがすでにフェスへの愛を持ってくれていると感じた。フェスのコンセプトが明確で埼玉のフェスとして既にあの場所に根を張っているのではないだろうか。それを感じたのがオールナイトビバ!でお風呂を借りたゴールドジムで出会った方と話をしたときだ。年配の方だったが、さいたまスーパーアリーナでフェスをやっていることを知っていて、VIVA LA GARDENでバーベキューをしたと言っていた。フェスに興味がない人でもそうやってお祭りとして楽しんでくれていることを知ってうれしかった。
このフェスが始まる前までオフィシャルTwitterや鹿野淳のアカウントでは常にフェスへの質問が来ていたが、それに答え必要があれば改善していた。フォロワーにどちらのグッズがいいか聞いているなんていうこともあった。昨年VIVA
LA ROCK ZEROというこのフェスのキックオフイベントがあった。このときは会場に空きもありどんなフェスになるのかあまりわからないような状況であった。いざフェスが始まってみて一番伝わってきたのは、今年初めて行われたフェスなのにもかかわらず、出演しているアーティストがこのフェスに愛情を持っているということだった。それはやはり今まで数々のフェスをプロデュースし、雑誌のインタビューなどでアーティストとの信頼を深めてきた鹿野さんだからこそできたことだろう。アーティストが愛情を持って気合を入れてステージに立ってくれればお客さんはこれ以上に楽しめる空間はないだろう。これがこのフェスが成功した一番の要因であろう。鹿野さんは常に会場のいたるところに現れていた。お客さんと話したり、DJをしたり。フェスを作っている人がお客さんと近い場所にいたというのも楽しめた要因だと思う。どんな人が作っているフェスなのか、どんな目的なのか、それがとても伝わりやすかった。
このフェスには本当に夢があって来年再来年とどんどん大きくなる予感がする。今まで鹿野さんが作り上げてきた信頼があるからこそのフェスで誰にもまねのできない愛のあるフェスになるんだと思った。もちろん改善すべき課題は山積みだろうが、課題があるからこそ成長し、きっと来年はもっと楽しめると思う。来年のGWもVIVA
LA ROCKのために予定をあけておいて後悔することはないだろう。
Text by Shu Saito
Text by Shu Saito
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