2013年10月5日土曜日

進化し続けるポップミュージックの牽引者


 ceroというバンドをご存じだろうか?Vo/B.高城昌平、G.橋本翼、Key.荒内佑の三人で構成されていて、バンド名はContemporary Exotica Rock Orchestraの略である。基本的に前述した楽器を担当しているのだが、ライブではしばしば高城がギターやサックス、荒内がベースを担当する時がある。SAKE ROCKYOUR SONG IS GOODやキセルなどを擁するインディーズレーベルであるカクバリズムに所属しており、今年は全国の様々なフェスに出演したり、Shimokitazawa Indie Fanclubでは入場規制がかかったりとますます勢いが増しているバンドである。




私が初めてceroを見たのは昨年の6月、カクバリズムの10周年イベントの第一弾の時であった。その時運よく最前列で見ていた私は、唯一無二な世界観と雰囲気とに心を奪われてしまった。その後、イベントの第二弾や夏フェス、2月に行われたワンマンライブなど様々なライブを見たが、見るたびに彼らは進化していた。そんな彼らが98日に行ったワンマンライブ「Contemporary Tokyo Cruise」に行ってきた。

定刻になるとのvo.高城昌平がハンドマイクを持って登場し、オープニングアクトがあることを自ら発表する。すると、高城が高校時代から親交があるメンバーがいるという“表現“というバンドが登場する。アコーディオン、ヴァイオリン、ギター、コントラバスという編成で、ミュージカルを見ているかのようなダイナミックで独特な世界観が繰り広げられ、終始その迫力に圧倒された。

 セット転換を経てceroが登場する。まず、気が付くのはこれまでと違う編成である。ceroのメンバー3人に加えて、これまで通りスティールパンとトランペットを担当するMC.shirafu、そして以前ドラムのサポートであったあだち麗三郎がサックス兼パーカッションになっているのだ。そしてベースに厚海義朗、ドラムに光永渉が加わる。そして、オープニングアクトを務めた表現より、ホルンとトランペットとして古川麦の計5人のサポートメンバーを含む8人編成である。

 ceroの登場SEが消えると、分厚いホーン隊の音色が鳴り始め、一曲目の“水平線のバラード”へ。豊かなハーモニーがステージから溢れ、会場の空気をcero色へと変えていく。アルバム“My Lost City”の一曲目でもあるこの曲でオーディエンスの期待感が膨れ上がっていくのが感じられた。続く“ワールドレコード”では高城がハンドマイクを持ちステージを歩き周り、時に飛び跳ねながら気持ちよさそうにラップを披露する。そんな高城の姿を見たオーディエンスも体を動かし、曲の序盤では「Contemporary Exotica Rock Orchestra!」と叫び、一体感が生まれる。さらに“マウンテン・マウンテン”ではまさに山を登るかのように、テンションは上がっていきフロアは熱気に包まれる。また、大雨であったこの日に聴いた“21世紀の日照りの都に雨が降る”、“cloud nine”、“大洪水時代”、“船上パーティ”という水や雨にまつわる曲達は格別であった。特に“21世紀の日照りの都に雨が降る”では高城がレインコートを纏い、傘を差しながら歌っている姿が印象的であった。“Contemporary Tokyo Cruise”ではステージ上のメンバーも含め会場全体が大合唱をし、より一層の一体感が生まれ、なだれ込むように“マイ・ロスト・シティー”へ。「ダンスを止めるな」という歌詞通り、思い思いに踊り飛び跳ねるオーディエンス。この日一番の盛り上がりを見せた。

 アンコールで披露された“大停電の夜に”では大サビの前に会場の照明がすべて消え、汽車の音が流れた。真っ暗な中な状態から徐々に照明が灯っていき、ゆっくりと高城が歌い始める。この日のライブで最も贅沢な瞬間であった。

 今回のワンマンライブでは、編成はもちろんアレンジやパフォーマンスにも磨きがかかっていた。全体を通して、高城の伸びやかなボーカル、橋本のギター、荒内のキーボードを軸に、ホーン隊を巧みに使ったアレンジが多く、”Rock Orchestra”感が増したように感じた。特にサポートにベースを入れたことで、より高城がアグレッシブに、自由に歌うことができるようになり、よりceroの曲達の魅力がダイレクトに伝わってきた。

間違いなくceroはポップミュージックを牽引していくバンドであると確信させられた。

 先日、12月にcero初のシングルCDの発売とそれに伴うツアーも発表された。今後も進化していくceroから目を離せない。聴いたことがない方、まだ間に合います!一緒に彼らの進化を見届けましょう!

Text by Ayaka Himi

0 件のコメント:

コメントを投稿