日常/星野源
「こんなことして何の意味があるのか?」という疑問が浮かび暗いトンネルにいるような感覚に陥った時、どうするか。そこで辞めるのか、それとも続けてみるのか…
ギターの優しい音色に乗っかるシンプルなベースラインとドラムのリムショットで始まるこの曲は、「無駄なことだと/思いながらも/それでもやるのよ/意味が無いさと/言われながらも/それでも歌うの」という一節が歌い出しだ。日常を構成する要素の中には“無駄”というものの比重が実は多いのではないかということにはっと気づかされる。
サビの「日々は動き/今が生まれる/暗い部屋でも/進む進む」という歌詞からも日常というものの本質が見えてくる。どんなことがあっても日常は進んでいくのである。「日常はそんなに優しくない。」と星野はインタビューで言っていた。全くその通りだ。しかし残酷な一面を見せる日常の中で光る何かが一つでもあればそれでいい。この曲はそう思わせてくれる。
そして、『ひらめき』で「かがやき/無駄のなかに」と歌っていたり『くだらないのなかに』で「くだらないのなかに/愛が」と歌っていたりと星野の曲は“無駄”や“くだらないもの”の大切さに気付かせてくれる。それらの中から日常の輝きが生まれてくるのだろう。だからいつだって「無駄なことだと思いながらもそれでもやるのよ」。
Text by Ayaka Himi
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